時速60kmの旅

400ccシングルと一緒に旅に出た。そこで出会った、景色、食事、人を記録した。

北海道ツーリング 2日目

8月17日(木) フェリー(往路)


気がつくと、8時00を回っていた。船から、日の出を見ようと思っていたが、寝過ごしてしまったようだ。身支度をした後に、コンビニで買っていたおにぎりを食べる。


穏やかな海を眺めていると、普段は手がつかない読書や書き物をしたくなる。行き詰まっても、外を見ると前に進んでいる光景が安心感を与えてくれる。退屈な作業が退屈でなく、特別な時間に感じる。


気がつけば、2時間以上も本を読んでいた。様々な島が見える瀬戸内海とは違い、日本海の海には変化が無く、たまにすれ違う同じフェリーにも歓声があがる程だ。

しかしWifi電波も届かない、この場所は日常の慌ただしさを忘れさせてくれる。


13時30分、新日本海フェリー名物のカレーライスとアイスコーヒーを頂いた。

もう一度、本を読み、16時頃、お風呂に入った。
お風呂場以外にも、さまざまなアミューズメントがあり、それぞれが思い思いに船の時間を楽しんでいるようだった。

そして、19時頃に食堂でラーメンと食べた。

カレーライスもラーメンも、船の中にしてはリーズナブルな800円程度。ちょうど良い量と味だった。食べている途中、到着時刻のアナウンスが入り、支度してバイクへ向かった。
そして、いよいよ下船。

小樽の街は、異国情緒が残り、ライトアップされた建物はまるで海外に来たように感じた。レンガ倉庫の前で写真を撮影。出発した舞鶴港とどこか似ていて、何もかもが美しい。街では、アコーディオンを弾いている若い演奏家に遭遇したり、レンガ倉庫を改装したおしゃれなバーがあったり、歩いているだけでも楽しい。

しかし、そんな時、財布を落としていることに気がついた。落とした場所は、フェリー?
港?それとも・・・。戻る準備をしていると、辺りでそわそわしていることに気がついた。
財布を拾ったカップルが、辺りの人に尋ねているのを見た。本当に助かった。ただ、お礼はしたものの、もっとお礼をしたかった。いやすべきだった。もし拾ってくれなければ、警察に届けて帰るまで野宿するしかなかっただろう。


安堵し、ゲストハウスへ向かった。しかし辺りが暗くなり、場所が分からずに迷った。苦労して21時40分にようやく到着。
そこで働いていたスタッフさんがとても親切だった。わざわざバイクを車庫に入れてくれ、電話しているときは部屋を暗くして、しっとりしたBGMを流してくれた。
そして、話をすると、学生時代は京都で過ごし、その後、地元の関東に就職するが、直ぐに沖縄へ行く。しかし、今度は北海道に。たまたま、ヘルプで入ったゲストハウスに正社員として働くことになったようだ。


いろんな人生があると思う。でも彼は、自分で選んだ人生を進んでいるように思う。
10時過ぎに、身内から電話をいただいた。声を聞いてとても落ち着いた。